Pretty Boy






「ちょうたろ」


程よい大きさの部屋に、MDコンボから流れる唄
その空間に、まだ幼い子供の声が微かに聞こえた


Pretty Boy前半


「?」

いつもは滅多に来ない訪問客に俺は少し驚きながら、扉を開けた
少し下を見ると眉間に皺を寄せ、俺の顔を見上げる8歳の男の子
腕の中には身体に不釣合いな大きさの枕がしっかりと抱えられている。
あまりの可愛さに自然と笑みがこぼれてくる

が。

「きもちわるい」

憎たらしいその一言に、俺の顔は一瞬で歪む

「あのなぁ〜…これでも兄ちゃんなんだよ?」

そんな俺の言葉も軽く無視し、部屋に入る
仕方なく扉を閉め、弟の方へ目をやる。
弟はベッドの上で枕を抱えたまま体育座りをしていた
どこか寂しげな、目

「お母さんがいなくって、1人で寝れないんだろ?」

俺が言った事は図星だったのか、ベッドの上に座る弟は顔が赤くなっている
(まぁ、大体予想はできたけどな)
今日は両親がいない。



弟の名前は「若」
といっても血の繋がりは無く、「義弟」という形になる
その若が来たのは、半年程前になる。俺が中1の時だ。
親父が再婚すると聞いて、俺はさして気にもとめなかった
新しい母親は愛想も良くて親父が好きになるのもわかる気がしたからだ。
それに、弟ができると思うと嬉しかった

初めて見る俺の「弟」は、不機嫌丸出しだった。
色素の薄い茶色の髪の毛に、白い肌。まだ8歳という事もあり、まんまるとした輪郭
しかし表情はかたく、ずっと頬を膨らましている
母親は軽く笑いながらお父さんっ子だったから、と言っていた。

まだ若は、俺の親父の事を「お父さん」と、俺の事を「お兄ちゃん」と呼ばない。

共働きな両親を休ませるために、俺が1日休みをとるよう言ったのは1週間前の話
若は俺が面倒見るからと説得すると、母親も承諾してくれた。
出発の朝、出そうな涙を堪えながら母親を見送る若がいた

それが、今朝の話。

予想通り(と言ったら変だけど)、若は朝からずっとふてくされている
仕方が無い。父親が死んで、新しい父親になったものだから、「お母さん」っ子になっている
まだ8歳の子供。だから今まで母親と寝ていたんだけど、今日はそうもいかない。
だからといって意地っ張りな若は俺と寝ようともしない


さぁ、忙しい夜の始まり…か?






   NexT

 ちょうたろうに「親父」って言わせてみたかった。笑

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